補聴器外来

佐野厚生総合病院耳鼻咽喉科部長
日本耳鼻咽喉科学会補聴器相談医
身体障害者福祉法第15条指定医
補聴器適合判定医
大久保啓介

幸せを呼ぶ補聴器

補聴器は、聞こえが悪くて困っている方を「幸せにする医療機器」です。
最も適した補聴器が選択され、時間をかけてしっかりと調整していけば、その補聴器は、聞こえに困っている方と、その周りの方々に「笑顔」を与えてくれる道具になります。

はじめに

高いお金を出して買った補聴器がタンスの肥やしになっていないでしょうか?あるいはそのような方が身近にいらっしゃいませんか?

実は、補聴器はメガネと違って、使いこなすにはトレーニングが必要なのです。当院は補聴器を購入する前の調整に力を入れています。
一般外来、補聴器外来の流れについて、簡単に説明します。

補聴器外来の流れ

【一般外来】

聞き取りの不自由を感じている場合に、耳の状態や聴力検査などから、補聴器をお勧めするかどうかを判断します。補聴器をご本人がその不自由を改善する意欲があることがとても重要です。

【補聴器外来】

原則、毎週木曜日の午後の予約外来です。約3ヵ月間、補聴器を貸し出しします。診察および検査は保険診療で行いますが、補聴器の貸出はどの形式も一切無料です。2週間毎に補聴器外来で補聴器の調整を行います。ここでは、補聴器に徐々に馴れることが重要です。補聴器に十分納得と満足が得られたら、はじめて購入となります。すでにお持ちの補聴器も同様に調整します。

【一般外来・補聴器外来】

3?6ヶ月に1回の頻度でフォローアップを行います。聴力の変化や耳の状態をチェックします。補聴器のアフターサービスを行います。

補聴器を購入する前に、必ず耳鼻咽喉科で診察を
処置や手術によって聞こえが良くなることもあります。また、聞こえが悪い原因はさまざまですが、思わぬ病気が見つかることもあります。まず、耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。

お薬や処置、あるいは手術によって、聞こえが治る可能性のあるものはできるだけ治療をした上で、本当に補聴器が必要かどうかをしっかり見極めます。

しっかり見極め図

自分に合った補聴器に出会うために

補聴器を選ぶ基準とは、何でしょうか?

      • 値段?
      • デザイン?
      • 多機能?
      • ブランド?

たしかに、それらは機種を選ぶのに大事です。
でも、もっと重要なことがあります。

どちらの耳に装着したら良いのか?どんな形の補聴器がふさわしいのか?高機能は本当に必要なのか?その補聴器では装用者のニーズに応えられるのか?安い補聴器ではわるいのか?その音質は、自分に合っているか?

必要度のバランス図

多くの補聴器が出回っているなか、自分自身にあった1台の補聴器を選ぶのは実に大変な作業です。
補聴器外来では、診察および聴力検査の結果をもとに、ご本人の希望をもとに適切な補聴器を決定します。
最も安い価格帯の補聴器で多くの方が十分満足が得られてます。

補聴器の適応と・装用する耳を判断します。形式(耳掛け型・耳あな型)を選びます。必要な機能を選びます。

当院の補聴器外来ではシーメンスをはじめ、欧米の大手メーカーのほとんどを取り扱っています。
高機能の補聴器は確かに良い面もあります。それよりも、時間をかけてしっかりと調整することがはるかに重要です。

3ヶ月間の貸出試聴

補聴器を希望する方の話をよく聞いた上で、もっとも適した補聴器を提示し、電池を含め約3ヶ月間無料で貸し出し試聴を行っています。耳の型を取ったからとしても、無理に購入をすすめることは一切ありません。調整中に他社の補聴器を試すことも可能です。

2週間ごと、3ヶ月間の調整

補聴器を1人1人に合わせる調整作業を、補聴器を販売する前に徹底して行います。
2週間ごとに外来にお越し頂きます。調整には約3ヶ月程度かけています。

当院での補聴器調整は、原則として当院に常勤している言語聴覚士が主導して行っています。

3ヶ月間の「脳トレ」

実は、この調整中に、脳内は「トレーニング」を行っていると考えられています。
以下は、済生会宇都宮病院耳鼻咽喉科診療部長の新田清一先生からの引用です。

「難聴の方の多くは内耳の機能が弱く、音が脳に届く量が少なくなっています。つまり使っていない聴覚の脳の部分が多いのです。そこにいきなり補聴器で大きな音を入れると、脳がびっくりして不快感を覚えます。そのため、ある程度の大きさの音から徐々に音を大きくして、脳を馴らしていく必要があります。脳のトレーニングをするようなモノです。」

「人間の脳は優秀で、何歳になっても変化する『可塑性』という力を持っています。補聴器をこまめに調整しながら、しっかり脳をトレーニングすると、何歳になっても言葉の聞き取りを良くすることができます。」 (平成22年6月6日 下野新聞 朝刊より)。

視聴・調整・脳トレ図

調整済みの補聴器を購入

「脳トレーニング」と「調整」を同時に行う、3ヶ月間の貸出試聴を経て、患者がその補聴器の有用性について十分納得した時点で、あらためて購入の有無を判断していただきます。
無理に購入する必要は全くありません。

他店で購入した補聴器も調整可能

補聴器外来の役割は、聞こえの改善のお手伝いをすることです。補聴器の販売が目的ではありません。
認定補聴器技能者のご協力のもと、国内に流通している欧米のメーカーの多くの補聴器を、当院で調整することが出来ます。

高いお金を出して買っては見たものの、「うるさい」「聞こえない」などを理由に使わなくなり、宝の持ち腐れになっている補聴器は、あなたのお家にありませんか?
是非一度、外来にご相談下さい。本人が補聴器に対する前向きな気持ちを持っている限り、我々はできるだけその気持ちに応えていきます。
再調整には1?2ヶ月程度かかることがあります。アナログ式や、一部の補聴器は対応できないこともあります。

最後に

補聴器の調整と、脳のトレーニングにはある程度の時間と手間がかかります。どうかあせらずに、幸せを呼ぶ「補聴器」に、じっくりと向き合っていきましょう。
補聴器外来は予約制です。一般外来から予約します。

当院は、補聴器適合検査を行うたの厚生労働大臣が定める施設基準に適合しており、各種聴力検査を正しく行っています。

Copyright © 2017 SANOKOUSEI GENERAL HOSPITAL ALL RIGHT RESERVED. 佐野厚生総合病院