耳鼻咽喉・頭頸部外科

耳鼻咽喉・頭頸部外科

診療科紹介

当科は耳・鼻・舌口腔・咽頭喉頭(のど)・唾液腺・甲状腺・顔面・頸部の病気を専門としている診療科です。耳鼻咽喉・頭頸部外科とも呼ばれています。

私たちは一般耳鼻いんこう科(いわゆる開業医)の通院だけでは対応が難しい患者さんを中心に診療を行っています。急性喉頭蓋炎や突発性難聴のように緊急入院や緊急処置が必要な病気や、慢性副鼻腔炎や頸部腫瘤、頭頸部がんなど、精密検査や入院手術を必要とする病気を対象とした診療体制を構築しています。

当院は咽頭がんや喉頭がんを内視鏡下に経口的に摘出するための先進的な医療機器を2013年から導入していますが、私たちはこれらの精密機器を嚥下機能改善手術にも使用しています。

肺がんや甲状腺がんによって声が嗄れたり、脳卒中などで食べられなくなった患者さんは大勢いらっしゃいます。患者さんの「声を出したい」「口から食べたい」「声を残したい」「カニューレを外したい」といった強い希望に応えるために、声帯内注入術や嚥下機能改善手術、誤嚥防止手術といった特殊な手術を行なっております。これらの手術はのべ300症例以上行っており(2022年現在)、全国から当院に紹介受診しています。

基本方針

  • 耳鼻咽喉・頭頸部外科疾患に、専門的に対応します。
  • 近隣の診療所・病院や大学、がんセンターとの連携を行います。
  • 手術は「必要最小限」「機能温存」を原則とします。
  • 機能改善手術を提案します。
  • トップレベルの高度専門医療を提供します。

患者さんへ

  • 当科は地域基幹病院の耳鼻咽喉・頭頸部外科として、精密検査や専門治療が必要な患者さん、
    入院や手術を必要とする患者さんを中心に診療を行っています。
  • 病気の状態によって、開業医への受診をお勧めすることがあります。
  • 原則として紹介状による受診をお願いしています。他科に受診するついでに当科へ受診すること
    (いわゆるついで受診)はお控えください。
  • 土曜日は大変混み合うため、検査や処置に制限があります。ご了承ください。

嚥下手術連携施設について

誤嚥防止手術の適応の方のなかには、さまざまな事情によって当院で手術を行うことが難しいことがあります。原則としては当院にご紹介いただき、当院で手術を行なっておりますが、主治医の考え方や病態によっては術者が当該病院に赴いて手術を行うことがあります。

下記医療機関は、当院医師(大久保)が出張して嚥下関連手術を行なった実績のある「嚥下手術連携施設」の一覧です。いずれも下記病院の耳鼻咽喉科医師と大久保が個々の症例について十分にディスカッションを行い、結果的に大久保が各病院に出張して手術を行ないました。

出張手術で行なっている主な術式は「声門閉鎖術」「輪状軟骨温存型声門閉鎖術」「声帯内BIOPEX注入術」です。

最近は術後カフ付き気管切開チューブを挿入する必要がある患者に対する誤嚥防止手術である、輪状軟骨温存型声門閉鎖術の依頼が増えています。

補足1)
嚥下機能改善手術は手術器具や術後リハビリテーションの関係で、出張手術は行なっておりません。

補足2)
連携を行うかどうかについては、あくまで当該施設の主治医の判断になります。 患者さんやご家族の要望で意見を求める場合は、当該主治医を通じてではなく、当院セカンドオピニオン外来をご利用ください。




嚥下手術連携施設 一覧

栃木県

足利赤十字病院

NHO 栃木医療センター

済生会宇都宮病院

那須赤十字病院



埼玉県

さいたま市立病院

さいたま赤十字病院



東京都

NHO 東京医療センター

共済立川病院

慶應義塾大学病院

東京都済生会中央病院



神奈川県

川崎市立川崎病院

けいゆう病院

済生会横浜市東部病院

日本鋼管病院

横浜市立市民病院



静岡県 

静岡赤十字病院

医師紹介

大久保 啓介

大久保 啓介 おおくぼ けいすけ

役職

主任部長

<慶應義塾大学医学部>

耳鼻咽喉科学教室客員講師

認定医‧専⾨医
  • 日本耳鼻咽頭科頭頸部外科学会専門医・指導医
  • 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
  • 日本気管食道科学会専門医・評議員
  • 日本嚥下医学学会認定嚥下相談医
  • 日本サルコペニア・フレイル学会 サルコペニア・フレイル指導士
  • 身体障害者福祉法指定医(聴覚・平衡機能・音声言語又はそしゃく)
専⾨領域

喉頭、音声、嚥下

弓田 健斗

弓田 健斗 ゆみた けんと

役職

医員

伊藤 惇郎

伊藤 惇郎 いとう じゅんろう

役職

医員

外来担当医表

午前 伊藤 大久保 大久保 伊藤 大久保 (第1)伊藤
弓田 弓田 伊藤 弓田 (第3)弓田
(第5)伊藤
午後 (予約制) 喉頭外来
補聴器外来
(予約制)

医療関係者の方へ

嚥下機能改善手術の手術適応について

嚥下機能改善手術は、手術適応を決定することが大変難しいと言われています。
2012年の第64回日本気管食道科学会にて手術適応の手順および必要な検査について討議するシンポジウムが行われました。講演したスライドの一部を公開します。

嚥下機能改善手術の適応と限界について

喉頭挙上術と内視鏡下輪状咽頭筋切除術について2021年の第44回日本嚥下医学会学術講演会にて講演したスライドの一部を公開します。

気管切開チューブを装着する必要がある症例に対する誤嚥防止手術

一般的に、声門閉鎖術などの誤嚥防止手術は術後カニューレフリーを目指しています。一方、ALSなど、術後カフ付き気管切開チューブの装着を余儀ななくする症例が増えてきました。気管切開チューブは気管切開にフィットするように設計されています。私たちは永久気管孔を通常の気管切開孔と同様の形状にした誤嚥防止手術を2つ開発し、それぞれ日本耳鼻咽喉科学会と日本気管食道科学会に投稿しました。

気管カニューレ管理が必要な患者に対する誤嚥防止手術としての輪状軟骨温存型喉頭摘出術
稲木香苗, 佐々木俊一, 大久保啓介, 菅野雄紀, 利國桂太郎, 岡田峻史, 南隆二, 捨田利慧, 須田悟史, 小澤宏之
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 125(7): 1110-1116, 2022.

学会発表

Bell麻痺・Hunt症候群に対する経乳顔面神経減荷術ー手術による治療効果と聴力への影響ー
須田悟史、都築伸佳、大石直樹 他
Otology Japan Jan-33,2023.
高齢者の摂食嚥下障害-まず何から始めるか?- 
大久保啓介
耳鼻咽喉科1:774-784,2022.
気管カニューレ管理が必要な患者に対する誤嚥防止手術としての輪状軟骨温存型喉頭摘出術
稲木香苗, 佐々木俊一, 大久保啓介, 菅野雄紀, 利國桂太郎, 岡田峻史, 南隆二, 捨田利慧, 須田悟史, 小澤宏之
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 125(7): 1110-1116, 2022.
下咽頭梨状陥凹瘻に対して経口的瘻管摘出術を施行した1例
笠原健, 大久保啓介, 菅野雄紀
日本気管食道科学会会報 73(1): 14-20, 2022.
ガス産生を伴う深頸部膿瘍に対して術後人工呼吸器管理を行った1症例
笠原健, 大久保啓介, 森川淳, 酒井瑞乃
日本気管食道科学会会報 72(1): 53-59, 2021.
当院におけるサルコペニアの摂食嚥下障害症例の評価と治療
大久保啓介, 菅野雄紀, 笠原健, 稲木香苗, 森川淳
日本気管食道科学会会報 71(2): 228-230, 2020.
COVID-19肺炎患者に対して気管切開を施行した症例の術後管理について
大久保啓介, 井上卓, 深田理佳, 菅野雄紀, 平野俊之, 南隆二, 笠原健
日本気管食道科学会会報 71(6): 426-433, 2020.
薬剤性嚥下障害を生じたサルコペニア高齢者に対する喉頭挙上術
笠原健, 大久保啓介, 森川淳, 稲木香苗
日本気管食道科学会会報 70(6): 369-375, 2019.
声門下狭窄症に対する輪状軟骨鉗除による気管孔拡大形成術の検討
稲木香苗, 大久保啓介, 猪狩雄一, 三橋正継
日本気管食道科学会会報 69(4): 236-243, 2018.
声帯内BIOPEX注入術の誤嚥に対する効果
- 反回神経麻痺と声帯萎縮による声門閉鎖不全症例に対して -
三橋正継, 大久保啓介, 猪狩雄一, 角田真弓
日本気管食道科学会会報 67(4):249-255,2016.
サルコペニアと老化に伴う体格変化と嚥下障害
大久保啓介
MB ENTONI (196): 12-18, 2016.
Management of tracheostomy in COVID-19 patients: The Japanese experience
Yokokawa T, Ariizumi Y, Hiramatsu M, Kato Y, Endo K, Obata K, Kawashima K, Sakata T, Hirano S, Nakashima T, Sekine T, Kiyuna A, Uemura S, Okubo K, Sugimoto T, Tateya I, Fujimoto Y, Horii A, Kimura Y, Hyodo M, Homma A
Auris Nasus Larynx. 2021 Jun;48(3):525-529.

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