薬剤部
理念
薬剤部では「薬のことは薬剤師に」を理念に、薬の専門家として薬物療法の有効性と安全性を保証する薬剤業務に取り組んでいます。
患者さんや医療スタッフが医薬品を適正使用できるように、的確な薬剤情報提供や業務支援を心掛けています。
概要・特色
薬剤部には薬剤師26名(育休2名)と4名の事務職員が所属しています(2019年11月現在)。
薬剤部は医薬品の調剤・製剤・管理・供給・情報提供、高カロリー輸液・抗がん剤などの調製、病棟薬剤業務、薬剤師外来業務および治験薬管理などを行なっています。また当院には医療チームとして緩和ケアチーム、栄養サポートチーム、抗菌薬適正使用支援チーム、褥瘡ケアチーム、糖尿病チームなどがあり、薬剤師もチームの一員として参加しその職能を発揮しています。
現在、各種認定薬剤師が在籍し、それぞれの分野の医療に高い専門知識と技術で貢献しています。薬学部学生実習、肝臓病教室などの教育にも関わり、地域薬剤師会との連携を推進しています。
当院は2017年度より院外処方となり、薬剤部においては病棟業務が中心になりました。現在、病棟薬剤業務の拡大、薬剤師外来業務の積極的な推進、手術室関連の業務支援など今後進められていくタスクシフティングに備えた増員を予定しています。
認定・資格(2019年11月現在)
日本病院薬剤師会 | がん薬物療法認定薬剤師 | 1名 |
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感染制御認定薬剤師 | 1名 | |
病院薬学認定薬剤師 | 1名 | |
日本化学療法学会 | 抗菌化学療法認定薬剤師 | 1名 |
日本薬剤師研修センター | 認定実務実習指導薬剤師 | 3名 |
研修認定薬剤師 | 2名 | |
栃木県糖尿病療養指導士認定機構 | 栃木県糖尿病療養指導士 | 5名 |
栃木県災害派遣医療チーム | 登録隊員 | 1名 |
業務内容
外来・入院調剤
医師の診察によって発行された処方箋にもとづき、内服薬や外用薬などの調剤を行っています。薬の中には患者さんの年齢、体重、腎臓や肝臓の調子により量の調節が必要なものや一定期間の休薬が必要なものがあります。また、薬同士の飲み合わせに注意が必要なものもあります。調剤業務では特にこれらに注意しながら、患者さんが安全に薬物療法を受けられ、最大限の効果が期待できるように心がけて調剤を行っています。
外来患者さんは原則として院外処方箋で対応しています。院外処方箋には患者さんの検査値を印字し、保険薬局へ情報提供しています。
注射調剤
注射処方箋をもとに患者さんごとに注射薬を取りそろえ、病棟および外来に払い出しています。その際には薬の配合変化、溶解後の安定性や投与速度などの情報を医師・看護師に提供し、薬の適切な使用をサポートしています。
当院では注射剤自動ピッキングシステムを使用し投与1回ごとの払出をすることで、業務の効率化・より正確な調剤・安全性の向上を図っています。
医薬品情報業務
薬物治療を有効かつ安全に患者さんに受けていただくために、医薬品に関する重要な情報を医師・看護師・薬剤師をはじめとするすべての医療従事者へ伝達しています。またそのための医薬品情報の収集・整理・評価を行っています。
製剤業務
製剤室では、院内で取り決められた製剤や治療上必要であるものの市販されていない製剤を「院内製剤」として調製し医療の現場に提供しています。
高カロリー輸液調製
クリーンルーム(無菌室)に備えられたクリーンベンチで、食事からの栄養摂取が困難な患者さんに用いられる高カロリー輸液を無菌的に調製しています。
抗がん剤調製
抗がん剤は治療に必要な用量と副作用が発現する用量が近接するため、特に注意が必要な薬の一つです。外来・入院患者さんが安全に抗がん剤治療を受けられるように、薬剤師が院内で使用される治療計画書(レジメン)の審査・管理に携わっています。
混注業務は安全キャビネット内で無菌的に行われ、一部の抗がん剤では曝露が起こらないように閉鎖式薬物移送システム(CSTD)を使用しながら調製を行っています。
〈抗がん剤調製時の装備〉
治験薬管理
健康な人や患者さんに対して治療を兼ねた試験を行い、薬の効果や安全性を確認することを「治験」と言います。治験を経て国から承認を受けなければ、医薬品(薬)は医療機関や薬局で取り扱うことができません。
当院は厚生連病院治験ネットワークに加盟し、薬剤部では治験薬の管理を行っています。詳細は下記リンクをご覧下さい。
Home>病院のご紹介>地域がん診療連携拠点病院>治験・臨床研究について
病棟薬剤業務・薬剤管理指導業務
急性期病棟には専任の薬剤師が常駐しています。薬剤師は入院患者さんの持参薬確認、服薬指導(薬の名前・飲み方・使い方・薬効・副作用などの説明)、薬物間相互作用の確認、薬の効果・副作用のモニタリング、医師・看護師・コメディカルスタッフへの薬剤情報提供などを通し、患者さんが安心して安全で効果的な治療を受けられるよう日々励んでいます。
がん薬剤師外来業務
当院では患者さんに外来がん化学療法を安心して受けていただくために、がん薬剤師外来を設置しています。詳細は下記リンクをご覧下さい。
Home>病院のご紹介>地域がん診療連携拠点病院>がん薬剤師外来
情報システム
現在、情報システムは医療の提供に不可欠な存在になっています。当院でも電子カルテシステムをはじめ、病院全体に様々な情報システムが導入され、業務の効率化が図られています。
薬剤部情報システムでは医師の処方入力によりプリンターから処方箋や薬袋が出力されます。処方内容は最新の情報に基づいて相互作用の有無や投与日数上限などがシステム上でチェックされ、患者さんに薬を安全に服用していただけるような仕組みとなっています。
医薬品管理供給業務
備蓄医薬品の保管管理と調剤室などへの医薬品供給および医薬品卸会社への発注管理を行なっています。個々の患者さんの状態に合わせ処方される多種多様な医薬品を医療現場に速やかに供給するために、常に医薬品卸などの方々とも連携を密にして医薬品の調達を行なっています。
医療チームへの参加
緩和ケアチーム
毎週月曜日は、医療用麻薬を使用している入院患者さんを対象に、医師・看護師・薬剤師でカルテ回診を行い、患者さんがより良い症状コントロールが出来るようサポートしています。毎週木曜日は、内科医師・緩和専従看護師・栄養士・薬剤師で、緩和ケアチームにコンサルテーションされている患者さんの病室に訪問します。薬学的知識を用いて薬の提案や情報提供を行なっています。
栄養サポートチーム
医師・看護師・栄養士・言語聴覚士・臨床検査技師・薬剤師でチームを構成し、毎週木曜日に回診を行っています。経口・経腸栄養・経静脈栄養すべてを考慮し、患者さん個々に適した栄養管理方法を提案します。薬剤師は下痢などの栄養管理に関する合併症と使用薬剤の確認、静脈栄養の配合変化や内服薬の経管投与の確認などを行います。また、在宅栄養療法を行う患者さんやご家族へ、経腸栄養剤だけでなく静脈栄養についても情報提供を行っています。
抗菌薬適正使用支援チーム(AST)
医師・感染専従看護師・臨床検査技師・薬剤師でチームを構成し、毎週水曜日に回診を行ない消毒薬や抗菌薬などの確認を行なっています。感染予防や抗菌薬の適正使用を通して予防・治療の両面の活動を行なっています。薬剤師は広域抗菌薬使用状況の確認や、必要な薬についてはTDMを行なっています。
褥瘡ケアチーム
医師・看護師・栄養士・理学療法士・薬剤師でチームを構成し2週間に1度、回診を行っています。回診では褥瘡のある入院患者さんを対象に他職種間で情報を共有し、疾患・治療・栄養状態を考慮した全身管理を行っています。薬剤師は症状に合わせた薬の提案、使用中の軟膏の管理や保管方法の評価・助言などを行っています。
糖尿病チーム
日本糖尿病学会認定の糖尿病専門医をはじめ、看護師・栄養士・薬剤師・歯科衛生士・理学療法士・臨床検査技師でチームを構成し、多岐にわたる診療科の入院患者さんの糖尿病診療に横断的に関わっています。糖尿病チームでは糖尿病教室を開催しており、薬剤師は火曜日を担当しています。14時から約1時間程度、糖尿病薬の特徴や副作用を中心にお話をしています。
教育
薬学部学生実習受け入れ
毎年5~6名の学生の実習を受け入れています。コアカリキュラムに従った講義や実習を通じて、次世代を担う薬剤師の育成を行っています。
一般・患者さん向けセミナー
肝臓病教室
慢性肝炎・肝硬変・肝臓がんなど慢性肝臓病を抱える患者さんを対象に、肝臓病に関する情報を提供するための教室を半年に1回開催しています。医師・看護師・栄養士・薬剤師が講演し、肝臓病の診断・治療・予防・薬・食事・生活などについてお話ししています。質問時間も十分に取り、日頃患者さんが抱える不安や疑問にもお答えしています。
地域薬剤師会との連携
佐野市薬剤師会と抗がん剤の勉強会などを開催し情報共有を行っています。