耳鼻咽喉・頭頸部外科
得意分野・特殊医療
診療科紹介
当科は 耳・鼻・口腔(舌)・咽頭・喉頭・唾液腺・甲状腺・顔面および頸部 の疾患を扱う専門診療科(耳鼻咽喉・頭頸部外科)です。
また脳卒中などによる高度摂食嚥下障害に対し、「口から食べる」ことを目指す手術を行っています。
一般耳鼻咽喉科では対応が難しい症例に、以下の体制で対応しています。
・急性疾患・緊急入院:急性喉頭蓋炎、突発性難聴 など
・精密検査・入院手術:慢性副鼻腔炎、頸部腫瘤、頭頸部がん など
・先進的内視鏡手術:2013年導入の経口内視鏡手術システムを、咽頭・喉頭がん摘出や嚥下機能改善手術に応用
・機能改善を目指す手術
・声帯内注入術(主に発声機能の改善)
・嚥下機能改善手術(主に嚥下機能の改善)
・誤嚥防止手術(気道への誤嚥を防止し、呼吸の安定化を図る)
・声門下狭窄に対する手術(発声を取り戻し、カニューレ抜去を目指す)
機能改善を目指すこれらの手術は、延べ350例以上(2025年現在)を実施し、全国から紹介を受けています。
「声を出したい」「口から食べたい」「カニューレを外したい」という患者さんの希望に応える治療を提供しています。
基本方針
・耳鼻咽喉・頭頸部外科疾患に 専門的 に対応します。
・近隣診療所・病院、大学病院、がんセンターと 密に連携 します。
・手術は 「必要最小限」「機能温存」 を原則とします。
・機能改善手術 を積極的に提案します。
・高度で専門的 な医療を提供します。
患者さんへ
当科は地域の急性期病院として、かかりつけ医と連携しながら入院や専門治療が必要な患者さんを受け入れています。
2026年より当科外来は「紹介型外来(完全紹介制)」に移行する予定です。
初診時は、診療所・他院からの紹介状(診療情報提供書)を必ずご持参ください。
受診にあたってのお願い
・診療対象:精密検査・専門治療・入院や手術が必要な患者さんを診療します。
・紹介状のご準備:受診時は必ず紹介状をご持参ください。
・診療の振り分け:病状により、かかりつけ医での診療をお勧めする場合があります。
・「ついで受診」のご遠慮:他科受診の“ついで”に当科を受診することはご遠慮ください。
・軽症での定期受診:耳垢除去など軽度症状の定期受診は、原則としてかかりつけ医での診療をお願いします。
再診時の外来担当医に関するお願い
当院では診療の継続性と医療の質維持のため、再診は原則として前回の担当医が引き続き診療します。
担当医を変更する目的で予約外に受診される行為(例:希望医師の診療日に予約外で来院する等)は、緊急時を除きお受けできません。
日程変更が必要な場合は、事前に外来受付へご相談ください。
嚥下手術連携施設について
誤嚥防止手術の適応の方のなかには、さまざまな事情によって当院で手術を行うことが難しいことがあります。原則としては当院にご紹介いただき、当院で手術を行なっておりますが、主治医の考え方や病態によっては術者が当該病院に赴いて手術を行うことがあります。
下記医療機関は、当院医師(大久保)が出張して嚥下関連手術を行なった実績のある「嚥下手術連携施設」の一覧です。いずれも下記病院の耳鼻咽喉科医師と大久保が個々の症例について十分にディスカッションを行い、結果的に大久保が各病院に出張して手術を行ないました。
出張手術で行なっている主な術式は「声門閉鎖術」「輪状軟骨温存型声門閉鎖術」「声帯内BIOPEX注入術」です。
最近は術後カフ付き気管切開チューブを挿入する必要がある患者に対する誤嚥防止手術である、輪状軟骨温存型声門閉鎖術の依頼が増えています。
補足1)
嚥下機能改善手術は手術器具や術後リハビリテーションの関係で、出張手術は行なっておりません。
補足2)
連携を行うかどうかについては、あくまで当該施設の主治医の判断になります。 患者さんやご家族の要望で意見を求める場合は、当該主治医を通じてではなく、当院セカンドオピニオン外来をご利用ください。
嚥下手術連携施設 一覧
栃木県
埼玉県
東京都
神奈川県
静岡県
医師紹介

大久保 啓介 おおくぼ けいすけ
- 役職
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主任部長
患者支援センター長
<慶應義塾大学医学部>
耳鼻咽喉科学教室客員講師
- 認定医‧専⾨医
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- 日本耳鼻咽頭科頭頸部外科学会専門医・指導医
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定補聴器相談医
- 日本気管食道科学会専門医・評議員
- 日本嚥下医学学会認定嚥下相談医
- 日本サルコペニア・フレイル学会 サルコペニア・フレイル指導士
- 身体障害者福祉法指定医(聴覚・平衡機能・音声言語又はそしゃく)
- 専⾨領域
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喉頭、音声、嚥下

弓田 健斗 ゆみた けんと
- 役職
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医員
- 認定医‧専⾨医
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- 日本外科代謝栄養学会・日本臨床栄養代謝学会認定NST医師

南 颯太 みなみ そうた
- 役職
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医員
外来担当医表
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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午前 | 弓田 | 大久保 | 大久保 | 南 | 大久保 | (第2)南 |
南 | 弓田 | 南 | 弓田 | (第4)弓田 | ||
午後 | (予約制) | 喉頭外来 補聴器外来 (予約制) |
医療関係者の方へ
嚥下機能改善手術の手術適応について
嚥下機能改善手術は、手術適応を決定することが大変難しいと言われています。
2012年の第64回日本気管食道科学会にて手術適応の手順および必要な検査について討議するシンポジウムが行われました。講演したスライドの一部を公開します。
嚥下機能改善手術の適応と限界について
喉頭挙上術と内視鏡下輪状咽頭筋切除術について2021年の第44回日本嚥下医学会学術講演会にて講演したスライドの一部を公開します。
気管切開チューブを装着する必要がある症例に対する誤嚥防止手術
一般的に、声門閉鎖術などの誤嚥防止手術は術後カニューレフリーを目指しています。一方、ALSなど、術後カフ付き気管切開チューブの装着を余儀なくする症例が増えてきました。気管切開チューブは気管切開にフィットするように設計されています。私たちは永久気管孔を通常の気管切開孔と同様の形状にした誤嚥防止手術を2つ開発し、それぞれ日本耳鼻咽喉科学会と日本気管食道科学会に投稿しました。
学会発表
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高久朋枝,大久保啓介,笠原健,小内知子,関麻生,小林佳子,永島明美.当院嚥下チームが介入した院内死亡症例の検討.耳喉頭頸97(7):522-529,2025.
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大久保啓介.陰圧閉鎖療法.日本気管食道科学会会報 75(1):44-45,2024.
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稲木香苗,大久保啓介,栗田昭宏,遠藤絢子,冨岡拓矢,島貫茉莉江,菅野雄紀,利國桂太郎,藤井ゆず,岡田峻史,笠原健,南隆二,須田悟史,小澤宏之.気管カニューレ管理に適した誤嚥防止手術:輪状軟骨温存型声門閉鎖術.日本気管食道科学会会報 74(3):235-243,2023.
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大久保啓介,中山美智子,稲木香苗.術後感染症への対応.耳鼻咽喉科・頭頸部外科 95(12),2023.
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稲木香苗,佐々木俊一,大久保啓介,菅野雄紀,利國桂太郎,岡田峻史,南隆二,捨田利慧,須田悟史,小澤宏之.気管カニューレ管理が必要な
患者に対する誤嚥防止手術としての輪状軟骨温存型喉頭摘出術.日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 125(7):1110-1116,2022.
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笠原健,大久保啓介,菅野雄紀.下咽頭梨状陥凹瘻に対して経口的瘻管摘出術を施行した1例.日本気管食道科学会会報 73(1):14-20,2022.
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笠原健,大久保啓介,森川淳,酒井瑞乃.ガス産生を伴う深頸部膿瘍に対して術後人工呼吸器管理を行った1症例.日本気管食道科学会会報 72(1):53-59,2021.
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Yokokawa T, Ariizumi Y, Hiramatsu M, Kato Y, Endo K, Obata K, Kawashima K, Sakata T, Hirano S, Nakashima T, Sekine T, Kiyuna A, Uemura S, Okubo K, Sugimoto T, Tateya I, Fujimoto Y, Horii A, Kimura Y, Hyodo M, Homma A.Management of tracheostomy in COVID-19 patients: The Japanese experience.Auris Nasus Larynx 48(3):525-529,2021.doi:10.1016/j.anl.2020.10.019
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大久保啓介,井上卓,深田理佳,菅野雄紀,平野俊之,南隆二,笠原健.COVID-19肺炎患者に対して気管切開を施行した症例の術後管理につい大久保啓介,菅野雄紀,笠原健,稲木香苗,森川淳.当院におけるサルコペニアの摂食嚥下障害症例の評価と治療.日本気管食道科学会会報 71(2):228-230,2020.
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Kasahara K, Okubo K, Morikawa J.Laryngeal suspension, combined with rehabilitation and nutritional support, improved the clinical course of a patient with sarcopenic dysphasia.Int J Surg Case Rep 70:140-144,2020.doi:10.1016/j.ijscr.2020.04.068
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笠原健,大久保啓介,森川淳,稲木香苗.薬剤性嚥下障害を生じたサルコペニア高齢者に対する喉頭挙上術.日本気管食道科学会会報 70(6):369-375,2019.
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稲木香苗,大久保啓介,猪狩雄一,三橋正継.声門下狭窄症に対する輪状軟骨鉗除による気管孔拡大形成術の検討.日本気管食道科学会会報 69(4):236-243,2018.
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三橋正継,大久保啓介,猪狩雄一,角田真弓.声帯内BIOPEX注入術の誤嚥に対する効果 ―反回神経麻痺と声帯萎縮による声門閉鎖不全症例に対して―.日本気管食道科学会会報 67(4):249-255,2016.
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大久保啓介.サルコペニアと老化に伴う体格変化と嚥下障害.MB ENTONI 196:12-18,2016.