耳鼻咽喉科[3. のど(口腔・咽頭)の病気]

疾患一覧

急性咽頭炎・急性扁桃炎・扁桃周囲膿瘍
急性扁桃炎 右扁桃周囲膿瘍
急性扁桃炎右扁桃周囲膿瘍

ウイルスもしくは細菌の感染による、のどの炎症です。咽頭痛、発熱を来たしますが、ひどくなると食事や水も飲み込めなくなるほど重症化することがあります。

症状が軽ければ内服や点滴治療で治りますが、食事や水分が取れない場合には入院点滴治療が必要になります。扁桃炎が重症化し、膿が扁桃の周囲にたまる扁桃周囲膿瘍になると、口腔内から切開し膿を出す必要があります。

重症化すると膿が下方へ進展し、空気の通り道が狭くなり呼吸が苦しくなることがあります。入院して抗生剤の点滴、吸入薬等を行います。

慢性扁桃炎

扁桃に細菌が潜伏し、扁桃炎を繰り返しやすくなることがあります。このような症状を習慣性扁桃炎(慢性扁桃炎)と呼びます。年に3~4回以上繰返すことがあれば手術の適応となります。

手術は全身麻酔で行い、手術時間は約1時間です。入院期間は約1週間です。一般的に手術後は、咽頭炎の程度と頻度が楽になります。感染が全くなくなる訳ではありません。

アデノイド増殖症・扁桃腺肥大症
アデノイド増殖症(写真は右鼻の奥) 口蓋扁桃肥大症
アデノイド増殖症(写真は右鼻の奥)口蓋扁桃肥大症

アデノイドは鼻腔の後方、のどの最上部にあります。アデノイド、扁桃腺は4~6歳頃をピークに大きくなり、10歳を過ぎると縮小していきます。大きくても無症状ならば特に問題はありません。繰り返す滲出性中耳炎やいびき、睡眠時無呼吸症候群、アデノイド顔貌、繰り返す扁桃炎などの場合には手術を勧めることがあります。

手術は全身麻酔下で口蓋扁桃摘出術、アデノイド切除術を行います。手術時間は約1時間程度で、翌日から食事が始まります。入院期間は約1週間です。

深頸部膿瘍(しんけいぶのうよう)
頸部にたまった膿瘍(頸部造影CT)
頸部にたまった膿瘍(頸部造影CT)

深頸部膿瘍(頸部に膿がたまる病気)は急性咽頭炎や扁桃腺炎、虫歯などの初期感染から頸部に炎症が広がって、膿が貯留した状態です。糖尿病や免疫機能低下、肝機能低下などの基礎疾患がある場合は治療の反応が乏しく、入院が長引くことが少なくありません。

症状は初期感染巣(口やのど)の疼痛、開口障害、嚥下障害(物がむせる、唾液が飲み込めないなど)、頸部の腫れ、発熱などです。のど仏の周囲(喉頭)に炎症が波及すると気道狭窄を引き起こし、呼吸が苦しくなり、最悪の場合窒息の恐れもある危険性のある病気です。

呼吸が苦しい状態となった場合は気管切開を行い、一時的に気道を確保する必要があります。病気が進行すると心臓の周囲に炎症が波及する縦隔炎や縦隔膿瘍、膿胸、多臓器不全など重篤な感染症に至る可能性もあります。早期に診断し適切な抗生剤投与や切開排膿を行う必要があります。

唾石症(だせきしょう)
顎下腺唾石(CT) 口内法で摘出した唾石(左図CTと同じ症例)
顎下腺唾石(CT)口内法で摘出した唾石(左図CTと同じ症例)

唾石症とは唾液腺組織内や唾液腺管内に炭酸カルシウムなどが沈着してしまう疾患です。唾液腺は耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)がありますが、唾石症の9割以上は顎下腺に発症します。石が唾液の流出を妨げるために、食事中にあごの下が腫れたり、痛むことが主な症状です。触診すると口腔底に唾石を確認することが出来ます。

治療は小さい唾石の場合は自然排泄を期待して、痛み止めを飲みながら経過観察を行います。大きい場合は手術で唾石を摘出します。手術は一般的に口内法と口外法がありますが、当院では基本的にすべての症例を口内法にて摘出を行っております。

口内法は口腔内から手術を行い、唾石だけを摘出します。頸部に傷口のあとが残らない、手術侵襲が少ないことが利点です。術後頸部が腫れることがあります。入院期間は約4~7日間です。再発を繰り返す場合には口外法により顎下腺と共に唾石を摘出することも検討します。最近8年間は1件もありません。

上咽頭腫瘍(じょういんとうしゅよう)
上咽頭癌(写真は左鼻の奥)
上咽頭癌(写真は左鼻の奥)

上咽頭とは鼻の一番奥の突き当たりをさします。ここで発生する上咽頭癌は、中国南部や東南アジアに多く、わが国での発生頻度は比較的低いとされています。発癌の要因にはEBウイルスの関与が示唆されています。

上咽頭癌は症状に乏しく、早期には症状が出にくいのが特徴です。癌が大きくなり、耳管と呼ばれる耳とのどをつないでいる管を塞いで、滲出性中耳炎となることがあります。また、長引く鼻づまりや繰り返す鼻出血、頸部リンパ節転移による頸部腫脹を契機として受診することも少なくありません。

上咽頭癌は解剖学的特徴により原発巣の根治的な切除術が困難であり、放射線感受性が高いことから、化学療法を併用した放射線治療が主な治療となります。

中咽頭腫瘍(ちゅういんとうしゅよう)
中咽頭腫瘍1 中咽頭腫瘍2
中咽頭癌

中咽頭とは扁桃腺や舌の根元、口を開けたときののどの奥の壁などをいいます。中咽頭癌は頭頸部癌の約13%を占め、50~60歳代に多く、発癌には飲酒、喫煙が関係しています。リンパ節転移を好発するために、初診時に半数以上の患者さんに頸部リンパ節転移を認めます。

症状は咽頭痛や嚥下時痛です。治療はのどの形態や機能を考えて、化学療法を併用した放射線治療を中心とした治療が選択されることが多いです。根治が困難な事が予想される場合は手術治療も考慮します。

当院では化学放射線治療や経口的切除術を中心とした、機能や形態を温存する治療を行っています。再建手術が必要な場合は大学病院やがんセンターを紹介しています。

下咽頭腫瘍(かいんとうしゅよう)

下咽頭とは中咽頭より下方で、食道の入り口より手前の部分のことをいいます。のど仏の後ろが下咽頭となります。下咽頭癌は頭頸部癌の約10%を占め、少し増えています。発症は50歳以上で、男性が圧倒的に多い疾患です。中咽頭癌と同様に、長年にわたる喫煙や飲酒の習慣が大きく関与していると考えられています。

早期の症状としては咽頭異常感や、食べるときにしみる、ひっかかる感じなどです。特徴的な症状に乏しく、早期に発見するのが難しい病気です。癌が進行すると、飲み込んだ時の痛み、耳への走るような痛み、血痰、かすれ声、呼吸困難、頸部リンパ節腫脹などが出現します。

治療法は、早期癌は放射線治療、進行癌の場合は咽頭喉頭全摘術を中心とした手術治療が選択されることが一般的です。最近は化学療法を併用した放射線療法や、経口的下咽頭部分切除などの、喉頭機能温存を考慮に入れた手術治療が選択されることが多くなってきました。5年生存率は我々が扱っているがんの中ではもっとも低く、全体で30%程度です。

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